=Iから始まるとある会話=
「今から言う話、誰にも言ったら駄目だよ」
「無理だよ」
「どうして」
「摂理だよ。ひとりに話した時点でそれはもう世界に知らしめた、と思わなきゃ」
「そっか。残念。じゃ」
「ちょっと待って。そこまで言う私にだからこそ、信頼して話してみたいと思わない?」
「話、聞きたいの、聞きたくないの、どっち」
「聞きたい。そしてしゃべりたい」
「駄目、聞くならしゃべらない。どっちにする?」
「じゃあ聞かない」
「そっか。その話ってのは誰があなたの事を好きなのかって話なんだけど」
「聞く聞く!」
「さっき聞かないって言ったじゃん」
「聞く。絶対誰にも言わない」
「どうしよっかな。この話、本人から言われたんだ。『今から言う話、誰にも言ったら駄目だよ』って。だから『わかった』って」
「大丈夫。それでしゃべっちゃうのが摂理ってもんよ。で、誰?」
「その人」
終
【Jazz A to Z】
《板橋文夫》
渡良瀬
自分自身があまり日本人プレイヤーを聴いてこなかったためDIG。
渡辺貞夫クインテット、日野皓正クインテット、森山威男カルテットに在籍し、エリート街道で力をつけた方。
剛腕を魅せるピアノタッチと哀切漂うメロディセンスが、マッチング。
Good Bye
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