4.30.2018

no.255 たわ言B

=Bから始まるとある会話=

女「馬鹿にするんじゃないわよ!」

男「えらく怒ってるね」

女「怒るわよ。4時間も遅刻ってどういうつもり?」

男「まぁね」

女「まぁね?まぁねって何よ。まぁねって何」

男「怒るなよ。かわいくもない」

女「かわいい方よ!だいたい連絡もなしで!携帯は、携帯」

男「持たない主義」

女「持ち歩きなさいよ。持ってんだから」

男「ごめん、持ち歩かない主義」

女「謝るところ違うのよ」

男「謝るところ誤る、といった方が楽しい?」

女「そんなに逆撫でるの楽しい!?」

男「別に。なら聞くけど、よく待ったね」

女「好きなのよ、あなたのこと」

男「何してたの」

女「近くのポテト・バーで時間つぶしてた。カクテル一巡しちゃったわよ」

男「えっ、一巡?」

女「そうよ。薩摩もジャガも里もコンニャクも紫も」

男「ひょっとして、、、、」

女「タロも、よ」

男「むちゃ贅沢じゃん」

女「美味しかったわよ」

男「じゃあ怒ってる場合じゃないよ。言うことは?」

女「ありがとう」





【Jazz A to B】

《Jesse Belvin(ジェシー・べルヴィン)》


〈It's All Right With Me〉

2枚のアルバムを残し、27歳で自動車事故で亡くなった男、ジェシー・ベルヴィン。

2枚のアルバムのうち、この曲が含まれている『Mr.Easy』の方がジャズ色が強いようだ。

この曲が含まれているアルバム『Mr.Easy』のアレンジは西海岸で最も多忙を究めたアレンジャー、マーティ・ペイチが手掛けている。

アルト・サックスは"憑いてる"プレイヤー、アート・ペッパーのもの。


〈In the Still of the Night〉

邦訳は「夜のしじまに」がいい。

「しじま」、は「静寂」の意味だそう。

ただ、曲のアレンジはアップテンポかつ賑やかでなかなか床につかせない。

ジェシーは、コール・ポーターの名曲を、洗練とコクのバランスをとって歌っている。

歌詞の最後の方、"still"を"chill"と取り換えているように聴こえる。

現代の「チル」ブームを先取りしつつもそれを無視するウォームな歌唱。

〈The Very Thought of You〉

ギターの弾き語りのようにロマンチックに始まる。

「あなただけのために歌います」とでもいいだけな。

私は落ちた。あなたは。

4.28.2018

no.254 たわ言A

=Aから始まるとある会話=

女「明日来る?」

男「ああ。朝に行く」

女「朝」

男「朝」

女「朝に来てもなんもないよ」

男「納豆は?」

女「当然ないよ。でもケチャップならある」

男「なんにかけるね?」

女「スクランブルエッグ」

男「卵はあるのか。何もないって言ったじゃないか」

女「卵ぐらいあるでしょ、当然」

男「当然って、君。なら醤油も当然あるね?」

女「ないよ。なんにかける必要あるの?」

男「スクランブルエッグ」

女「げっ」

男「なんだその反応は。怒るぞ」

女「ぞっ」

男「いい反応じゃないか。ハッハッハ」

女「ではお願いをひとつ」

男「お願いをするときだけ白目をむくのはやめたまえ。人に対する敬意を欠いているぞ」

女「ごめん。これで許して」

男「なっ、、、、うむ。お願いとは?」

女「卵買ってきて」





【Jazz A to Z】

本題、ジャズの一片を残していきます。

選定基準は、これまで私自身があまり聴いてこなっかった、もしくはこの際初めて聴いたプレイヤーであることです。

一緒にジャズの宙をバタフライして下さい。

ファミリー・ネーム"A"からスタートです。

《Lorez Alexandria(ロレツ・アレキサンドリア)》

〈Nature Boy〉



〈Satin Dall〉

エラ・フィッツジェラルドサラ・ボーンカーメン・マクレエ

この三人を称して「ジャズ・ボーカル三女傑」と聞くことが多い。

もし、この3人プラス白人女性歌手を何人か聴いてジャズボーカルを「卒業」する人がいたら勿体ない。ぜひ、留年して様々な方と浮名を流すべきだ。

今回紹介するロレツ・アレキサンドリアは此度の留年で初めて声をかけた女性。

スウィートに伸びる歌声。ほどよい押しの強さに腰がくだける。

演劇を学んだ経歴からか、歌いまわしや表情づけもデリケートだ。

ロレツには知的な印象を強くうける。

「この人ともっと早く出会っていたら私の人生変わっていたんじゃないか」

という衝撃。

そんな大袈裟な人生は送りたくなくていい。

〈Over the rainbow〉

4.24.2018

no.253 白

本を200冊ほど処分した。

佐藤可士和の『超整理術』、原研哉『白』といったデザイン方面の「ミニマル」系啓発書も手放したことで、此度の本気度を示したつもりだ。

あんなに有難がって読んだ岩波文庫の上・中・下にまたがる長編小説を「俺にとってはゴミなんだよ」と目を覚ましてブックオフする爽快さといったら!

ともあれ、棚が空いた。
そこで栄の丸善本店に見繕いに行ったその帰り。

店を出たところで写真を撮った。


手前に鰻屋の暖簾が立っていて、道路を挟んだ向こうに白い建物の空物件がある。

暖簾と物件は関係ない。

しかし、この構図ではどう見ても「ミニマルなひつまぶし」を出す店だと勘違いする。

もし開店したらどんな代物が出てくるだろうか。


器はやはり丸か。それとも四角か。

いっそペンタゴンにせい。


器の色は白だ。

なんせ中のうなぎは白焼だから。

白焼でひつまぶるってとこに勝負かけてますんで。

うなぎはパリっとした感じで焼きあがっております。

味は、塩で仕上げてあります。うっすら醤油を忍ばせてあるかもしれません。

そこは海苔、山葵、葱をお好みで。

出し汁でお茶漬けするがよろしい。

助平心に梅干をアクセントにいかがでしょうか。

*

白焼は美味しいが、このひつまぶしを想像してみてもどうも味気無い。

いや、私の話したいのはそんなことじゃない。

結論、ひつまぶしより鰻丼の方が美味しくないか?って話に行き着く。

ミニマルに行こう。


徳川町の老舗「西本」の鰻丼が丁度いい。

清潔な店内。上品な設え。緑眩しい庭。

うなぎが高騰するなか、威張らない価格でやってくれている。

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CDやLPの処分も進めている。

10年以上聴いていないが「いつか聴くかもしれない」で保持していたものもさらっている。

そして今、「手に取った瞬間トキめくかトキめかないかで捨てるかどうかの判別をしましょう」という言葉を真に受けて宝を失うさまよい人になりかけている。

《ソニー・クラーク・トリオ》タイム盤なんぞ最たる例だった。

蒲焼のタレをべったり塗りたくったようなジャケットデザインも陰鬱だし、A面1曲目2曲目も暗く続く。今回も手に取った瞬間ヤな予感がした。

だがB面を流してみて自分が誤っていたことを知った。

ソニーの硬質でヒップなピアノタッチが冴える楽曲が並んでる。陽気だ。

最後の曲"Spnia"なんぞ初夏に向けて快活にドライブしている。

「ジャケ買い信仰」は否定しないが、ジャケットの印象を信じすぎてなるまいと、ようやく気付いた。

ソニー・クラークは1963年、31歳でヘロインの過剰摂取により亡くなっている。

その薬物を精製した色は言うに及ばない。