4.24.2018

no.253 白

本を200冊ほど処分した。

佐藤可士和の『超整理術』、原研哉『白』といったデザイン方面の「ミニマル」系啓発書も手放したことで、此度の本気度を示したつもりだ。

あんなに有難がって読んだ岩波文庫の上・中・下にまたがる長編小説を「俺にとってはゴミなんだよ」と目を覚ましてブックオフする爽快さといったら!

ともあれ、棚が空いた。
そこで栄の丸善本店に見繕いに行ったその帰り。

店を出たところで写真を撮った。


手前に鰻屋の暖簾が立っていて、道路を挟んだ向こうに白い建物の空物件がある。

暖簾と物件は関係ない。

しかし、この構図ではどう見ても「ミニマルなひつまぶし」を出す店だと勘違いする。

もし開店したらどんな代物が出てくるだろうか。


器はやはり丸か。それとも四角か。

いっそペンタゴンにせい。


器の色は白だ。

なんせ中のうなぎは白焼だから。

白焼でひつまぶるってとこに勝負かけてますんで。

うなぎはパリっとした感じで焼きあがっております。

味は、塩で仕上げてあります。うっすら醤油を忍ばせてあるかもしれません。

そこは海苔、山葵、葱をお好みで。

出し汁でお茶漬けするがよろしい。

助平心に梅干をアクセントにいかがでしょうか。

*

白焼は美味しいが、このひつまぶしを想像してみてもどうも味気無い。

いや、私の話したいのはそんなことじゃない。

結論、ひつまぶしより鰻丼の方が美味しくないか?って話に行き着く。

ミニマルに行こう。


徳川町の老舗「西本」の鰻丼が丁度いい。

清潔な店内。上品な設え。緑眩しい庭。

うなぎが高騰するなか、威張らない価格でやってくれている。

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CDやLPの処分も進めている。

10年以上聴いていないが「いつか聴くかもしれない」で保持していたものもさらっている。

そして今、「手に取った瞬間トキめくかトキめかないかで捨てるかどうかの判別をしましょう」という言葉を真に受けて宝を失うさまよい人になりかけている。

《ソニー・クラーク・トリオ》タイム盤なんぞ最たる例だった。

蒲焼のタレをべったり塗りたくったようなジャケットデザインも陰鬱だし、A面1曲目2曲目も暗く続く。今回も手に取った瞬間ヤな予感がした。

だがB面を流してみて自分が誤っていたことを知った。

ソニーの硬質でヒップなピアノタッチが冴える楽曲が並んでる。陽気だ。

最後の曲"Spnia"なんぞ初夏に向けて快活にドライブしている。

「ジャケ買い信仰」は否定しないが、ジャケットの印象を信じすぎてなるまいと、ようやく気付いた。

ソニー・クラークは1963年、31歳でヘロインの過剰摂取により亡くなっている。

その薬物を精製した色は言うに及ばない。

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