1.25.2016

no.250 メキシコの三人

ついにあの麻薬王が捕まった

メキシコ最大の麻薬組織シナロア・カルテル最高幹部、ホアキン・グスマン、通称「エル・チャポ(小柄なヤツ)」が。


エル・チャポによる2回目(!)の脱獄後、メキシコ政府は懸賞金6000万ペソ(約4億円)をかけ血眼になって行方を追っていた。

1回目の脱獄は2001年、刑務所職員ほぼ全員を買収し正面玄関からの「脱獄」。費やした額3億円。

2回目の脱獄は2015年、外部から刑務所へ掘られた地下1.5㎞のトンネルによって。通路には照明や換気口があり、バイクすら用意されていた。60億円が費やされた。

エル・チャポ率いるシナロア・カルテルはメキシコ経由で米国に密輸される麻薬の約4分の1を取り扱ってきたとされ、個人総資産額は10億ドルとも。敵対組織に対する残虐な「仕事ぶり」でも名高い。ついでに奥さんは元ミス・メキシコだったり、貧困層に仕事を与えたり災害時には政府より早く支援にかけつけるなど義賊的な一面もあったりと、「いつ映画化されて、誰がエル・チャポを演じるか」と思わせるエピソードに事欠かない。

*  *  *

と、メキシコまわりの情報に耳ざとくなるのは年末に購入したメキシコのボーカルトリオ集に聴き惚れているため。

                                      Grandes Trios Del Bolero               

ボーカルトリオ全盛なる1950年代の録音が中心。

三人のコーラスがギターを伴い「ボレーロ」を歌う。

「ボレーロ」はカリブ海周辺〜南米諸国においてかつて主流だった歌謡スタイル。ボサノヴァなどを愛聴してきたリスナーが次なる開拓地として熱い視線を送る「フィーリン」と隣接しており(それを包括しており)、豊かな歌謡性が魅力。リズム、テンポのおおらかさも特徴か。

本盤、ジャケットを見て「いなたい」「カビ臭い」音を想像させる方もあるかもしれない。

実際のところは、そういった『臭さ』と、胸に激しく訴える『甘美さ』とのスレスレのところに楽しみを見つけたい一枚となっている。

果物の熟に熟したところを手に汁したらせて味わう感覚とでも言おうか。

個人的には「ジャズのコーラスグループ を思わせる洗練×インドネシアのクロンチョンを思わせる典雅」を連想しながら聴いている。

ごたくはこれぐらいにして、収録曲がYoutubeにいくつか落ちていたので紹介したい。

Los Tres Ases (ロス・トレス・アセス)




Los Tres Caballeros (ロス・トレス・カバジェロス)





プエリトリコのグループも収録されている。

Johnny Albino Y Su Trio San Juan(ジョニー・アルビノ・イ・ス・トリオ・サン・ファン)。

アルビノはやがてトリオ・ロス・パンチョスのリードボーカルに就く人。


これらを聴いていると、今までそのありかすら定かでなかった感性の一極がむくむくと形作られていく気がする。

世の中は広いもので、ボーカルトリオのみを詳細に紹介するホームページを発見。

[Triomani 思い出のラテンアメリカ・ボーカルトリオ]

あまりのトリオの充実ぶりに驚きつつふと思う。
なぜ3人でなければならなかったのか。

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